ごあいさつ

千葉大学小児病態学教授河野陽一

私は大学を卒業後、直ちに当小児科学教室に入局しましたが、その頃の教室ではアレルギー疾患、内分泌疾患、消化器疾患を中心に診療・研究が進められておりました。

未だ小児の気管支喘息などアレルギー疾患の病態そして治療法が確立していなかった時期であり、小児科の外来が毎日喘息患者で一杯になっていたのが印象的でした。

私は臨床免疫・アレルギー学を志しましたが、丁度免疫学が日本で確立されていく時期にあたり、後に世界の免疫学をリードされた多くの先生方から直接指導を受ける機会を得ました。
また当時の免疫学会は色々な分野出身の若い研究者がすさまじい熱気のもとに終日議論を戦わせており、良い師そして仲間に恵まれたと思います。

このような基礎研究の発展に少し遅れて小児科でも臨床免疫学が盛んになり、現在のアレルギー・免疫疾患の治療のみならず、移植治療や多くの炎症性疾患の治療法の確立に結びつきました。

何も情報のないところから病態を明らかにし、そして治療法を確立する、今まで直せなかった病気を少しでもよくする、この努力は医療に携わる者にとって生涯温めていかなくてはならないテーマであると信じています。
疾患の病態、病因が分子レベルそして遺伝子レベルで解明が進められている現在、医療は予防医学が可能となり、治療医学から予防医学へと医療の大きな動きに繋がると思います。

予防医学は、病気の発症に立ち会う小児科医が正に担わなくてはならない分野であり、21世紀は新たなページを小児医療へ書き加えることになるでしょう。
若い人達の柔軟でシャープな発想と努力を期待しています。

千葉大学小児病態学教授河野陽一