こどものアレルギー疾患【診療】
----- 免疫グループ

アトピー性皮膚炎

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎はご本人のみでなく親御さんにとっても大変つらい病気です。

我々のグループは、当小児科の河野教授が研究班の班長を務める厚生労働省アトピー性皮膚炎研究班調査のひとつとして全国レベルでの乳幼児のアトピー性皮膚炎の調査を行っています。
その調査から乳幼児のアトピー性皮膚炎に重要な役割を果たしている因子をいくつか明らかにしております。これらの悪化因子を生活の中からうまく除きながら皮膚の適切なケアを行うことで乳幼児のアトピー性皮膚炎の治療に効果をあげております。

アトピー性皮膚炎の標準的な治療法が理解されずに、民間療法や過度の除去食療法などによってお子さんの健康が損なわれてしまうケースが現在でもまだまだ多く見受けられます。
厚生労働省アトピー性皮膚炎研究班では一般の医師むけのアトピー性皮膚炎治療ガイドライン2005を作成して知識の普及に努めていますが、同時に患者さんむけの適切な情報も提供しております。

アトピー性皮膚炎の治療として必要な場合には入院によるスキンケアの指導も行っています。またアトピー性皮膚炎と腸内細菌の関連を調査して、プロバイオティクスを用いたアトピー性皮膚炎の予防を目指しています。

食物アレルギー

年々増加している食物アレルギーの治療は原因療法としての除去食療法、対症療法としての薬物療法があります。除去食療法は確実な方法ではありますが、患者様やご家族の負担が大きくなるという問題点があります。我々のグループでは厚生労働省の班研究に参加して現在もっとも標準化された方法で負荷試験を行って食物アレルギーの診断や寛解(食べられるようになること)の確認を行っています。さらに、他の施設ではなかなか行えないTリンパ球の反応性も用いた食物アレルギーの診断を行っております。

●食物負荷テスト用粉末

食物アレルギーでアナフィラキシーという、非常に強い全身症状を起こす患者様がいらっしゃいます。症状出現時には素早い適切な対応が必要となります。
学校などでアナフィラキシーが出現したときの対応について記載した「食物アレルギーによるアナフィラキシー学校対策マニュアル 小・中学校編」(クリックするとダウンロードできるページに飛びます)を日本小児アレルギー学会の食物アレルギー委員会が作成しておりますが、河野教授はこの委員会のメンバーとして作成に関わっております。

気管支喘息

小児気管支喘息の治療については日本小児アレルギー学会より 2000 年に初めての治療・管理ガイドラインが出され、2002年、さらに2005年に改訂版が発表されました。河野教授はこの小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005(略称JPGL2005)の作成委員の一人です。
ガイドラインは現在、さらに改訂が進められており、次の改訂のための委員会には河野教授のみでなく、下条准教授も委員として参加しています。

このガイドラインをはじめ、世界のガイドラインでの気管支喘息の治療の基本の考え方は、喘息を火事にたとえ、出火したら速やかにかつ完全に消火することが大切であり、また、さらに大切なことは出火させないこと、とされています。出火を繰り返すたびに喘息患者の気道はダメージを受け、リモデリングと呼ばれる元に戻らない変化が起こって行くことが明らかとされてきたからです。

私たちの外来では、発作時の治療はもとより、喘息カレンダーによる発作頻度の正確な把握や、ピークフローモニタリング、呼吸機能検査を用いた気道ダメージの評価をもとに早期介入による気道のリモデリングの予防を目指した診療をおこなっています。

当グループでは、喘息の原因であるアレルゲンに対する反応性を減らすことを目的として以前より注射による減感作療法を行って効果を上げてきました。しかし、大変いい治療法ではありますが、お子さんたちにとっては痛みを伴うものであるのが難点でした。そこで、当グループでは耳鼻科の先生方と一緒に舌下減感作療法という新しい減感作療法を開始しております。本法により痛みがなく効果のある減感作療法が期待されます。

花粉症

小児のアレルギー性鼻炎・花粉症はどのくらいの年齢から発症して、どのくらいの頻度があるのかもまだ明かではありませんが、我々の調査では1歳半くらいで鼻炎を発症するお子さんがいらっしゃることがわかってきました。
アレルギー性鼻炎や花粉症は、将来の喘息の危険因子であることから、アレルギーを専門とする当大学耳鼻科と一緒に早期に鼻炎を発見して適切な治療を行うことにより喘息の発症予防を目指しています。その方法のひとつとして舌下減感作療法も開始する予定です。