小児のアレルギー疾患【診療】
----- 免疫グループ

気管支喘息

小児気管支喘息の治療については日本小児アレルギー学会より 2000 年に初めての治療・管理ガイドラインが出され、2002年、2005年、さらに2008年に改訂版が発表されました。
当グループの河野教授はこの『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005(略称JPGL2005)』の作成委員の一人であり、さらに2008年改訂版の作成には下条准教授も委員として参加しています。

このガイドラインをはじめ、世界のガイドラインでの気管支喘息の治療の基本の考え方は、喘息を火事にたとえ、出火したら速やかにかつ完全に消火することが大切であり、また、さらに大切なことは出火させないこと、とされています。出火を繰り返すたびに喘息患者の気道はダメージを受け、リモデリングと呼ばれる元に戻らない変化が起こって行くことが明らかとされてきたからです。

私たちの外来では、発作時の治療はもとより、喘息カレンダーによる発作頻度の正確な把握や、ピークフローモニタリング、呼吸機能検査を用いた気道ダメージの評価をもとに早期介入による気道のリモデリングの予防を目指した診療をおこなっています。
当グループでは、喘息の原因であるアレルゲンに対する反応性を減らすことを目的として以前より注射による減感作療法を行って効果を上げてきました。しかし、大変いい治療法ではありますが、お子さんたちにとっては痛みを伴うものであるのが難点でした。
そこで、当グループでは耳鼻咽喉科の先生方と一緒に、舌下減感作療法という新しい減感作療法の治験を開始しております。本法により痛みがなく効果のある減感作療法が期待されます。
※現在は治験に新しく参加することはできません。

花粉症

小児のアレルギー性鼻炎・花粉症はどのくらいの年齢から発症して、どのくらいの頻度があるのかもまだ明かではありませんが、我々の調査では1歳半くらいで鼻炎を発症するお子さんがいらっしゃることがわかってきました。

アレルギー性鼻炎や花粉症は、将来の喘息の危険因子であることから、アレルギーを専門とする当大学耳鼻咽喉科と一緒に早期に鼻炎を発見して適切な治療を行うことにより喘息の発症予防を目指しています。その方法のひとつとして舌下減感作療法の治験も耳鼻咽喉科と共同で開始しています。
※現在は、治験に参加する新しい患者さんの募集は行っておりませんが、今後予定しています。

アトピー性皮膚炎

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎はご本人のみでなく親御さんにとっても大変つらい病気です。

我々のグループは、当小児科の河野教授が研究班の班長を務める厚生労働省アトピー性皮膚炎研究班調査のひとつとして全国レベルでの乳幼児のアトピー性皮膚炎の調査を行ってきました。

その調査から乳幼児のアトピー性皮膚炎に重要な役割を果たしている因子をいくつか明らかにしております。これらの悪化因子を生活の中からうまく除きながら皮膚の適切なケアを行うことで乳幼児のアトピー性皮膚炎の治療に効果をあげております。

アトピー性皮膚炎の標準的な治療法が理解されずに、民間療法や過度の除去食療法などによってお子さんの健康が損なわれてしまうケースが現在でもまだまだ多く見受けられます。

厚生労働省アトピー性皮膚炎研究班では一般の医師むけの『アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008』を作成して知識の普及に努めていますが、同時に患者さんむけの適切な情報も提供しております。
※『アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008』(PDF 5.0MB):財団法人日本アレルギー協会 -JAANetアレルギー診療ガイドライン総合情報館』からダウンロードできます。

アトピー性皮膚炎の治療として必要な場合には入院によるスキンケアの指導も行っています。またアトピー性皮膚炎と母乳成分と生活習慣の関連の調査、アトピー性皮膚炎と腸内細菌の関連を調査ならびにプロバイオティクスを用いたアトピー性皮膚炎の予防を目指しています。

食物アレルギー

年々増加している食物アレルギーの治療は原因療法としての除去食療法、対症療法としての薬物療法があります。除去食療法は確実な方法ではありますが、患者様やご家族の負担が大きくなるという問題点があります。

我々のグループでは厚生労働省の班研究に参加して現在もっとも標準化された方法で負荷試験を行って食物アレルギーの診断や寛解(食べられるようになること)の確認を行っています。長期・複数品目の除去食が必要な患者様には栄養相談を行っております。

また、最近海外を中心に試みられつつある経口減感作療法についても近々開始予定です。基礎免疫学の先生との共同研究で経口減感作の機序を明らかにしたいと考えています。

●食物負荷テスト用粉末

食物アレルギーでアナフィラキシーという、非常に強い全身症状を起こす患者様がいらっしゃいます。症状出現時には素早い適切な対応が必要となります。

学校などでアナフィラキシーが出現したときの対応について記載した「食物アレルギーによるアナフィラキシー学校対策マニュアル 小・中学校編」(クリックするとダウンロードできるページに飛びます)を日本小児アレルギー学会の食物アレルギー委員会が作成しておりますが、河野教授はこの委員会のメンバーとして作成に関わっております。

*『千葉食物アレルギー親と子の会(連絡先:alle_oyako@yahoo.co.jp)』にて講演を行ったり、賛助会員として患者様の家族会に協力しております。